つまり、日野がいたからこそ

羽奈への思いを終わらせることができたんだ。


ほかの誰でもない。

日野がいたからこそ。



「...羽奈」


俺はぐっと拳に力を入れた。



「もう俺を頼るな。」


「...え」


「羽奈がアイツのことで苦しむたび俺を頼るけど

羽奈が頼るべき相手は俺じゃないだろ。」


「そんなことな―」


羽奈は俺の目を悲しそうに見つめながら首を横に揺らす。

だけど羽奈だって、わかっているはずだ。