そこから出てきたのは夏芽で

運転席に座っていたのは―――松本司。


雨で霞んでよく見えなかったけど

お礼も言わず俯いて車を飛び出す夏芽を見て

‘夏芽も’アイツに傷つけられたんだ

俺はそう確信した。



その時

このままじゃだめだ。

このままじゃアイツに夏芽をとられるかもしれない。

そうなる前に俺が――って思った。