「え…?」
俺自身、突然何言ってんだろって思ったけど、
この唐突な俺の性格は自分でも上手く理解っていうか…よく分からない時がある。
考えてないつもりでもいつも俺の頭の中を埋め尽くしてるのは、他でもない愛梨。
けどコイツはそんなこと全くってほどに分かってない。
「佐藤…」
「あ、…英二先輩?」
いつから呼び方が“佐藤”から“英二”に変わったんだよ…
そんなことを思って何か腹の虫の居所が悪くなり。次の質問を飛ばす。
「英二。先輩ね…
つか昨日とか誰と帰ってたわけ?」
「え…えーと、英二先輩と…たまたまいつも玄関で会うから…」
そう途中まで言うと、口ごもるように愛梨はモジモジとしだした。
“たまたま”…ね?
大体、今まで会わなかった全く会わなかった人間に、最近になって急に会う方がどうかしてる。
やっぱりコイツは…単純すぎる、鈍感すぎる、馬鹿すぎる。
だから、本当に勘弁してほしい。
「たまたまなわけないだろ…気付けよバーカ」
ハァッと溜め息をついてから、持っていたほうきを掃除用具の中にしまうと、俺は自分の席に行って鞄を手に持った。
「か…帰るのっ?」
「…だって、当番の奴ら戻ってくるよ?」
一度だけ振り返ってから愛梨の手を取って俺は歩き出した。

