黙って立ち上がって台所を出た。 文香はため息をついたが 何も言ってこなかった。 はあ。 独りで電車に乗るのは初めてかも。 電車がぐらりと揺れる。 容赦なく壁にぶつかる。 痛い。 こんなときになって初めて、 直人がさり気なく守ってくれていたんだって知った。