パメラは顔を上気して、自分のことのように喜んでいる。

「しかも、ソニアの初恋の相手だったお方とでしょう? ロマンチックだわあ! ずっと想っていた方と一緒になれるなんて……! きっとセヴラン様も、ソニアのことをずっと気にかけておいでだったのよ」

「だと良いけど……。時たま届けられる便りには、私のこと妹のようにしか思っていないような文面だったから……。無理しているのか不安だわ」
 
 ソニアは、今までセヴラン王子から貰った手紙の内容を思い出して俯いた。
 
 もしかしたら父であるパドリス王に結婚を強いられたのかもしれない、という不安が出てきたのだ。

 だとしたら彼に申し訳ない。
 
 三つ上のハトコにあたるセヴランとは、家族が亡くなりこの修道院に来るまでは王宮でよく遊ぶ仲だった。
 
 日の光を吸い込んだような眩しい金髪は、優雅に肩に落ち、そして薔薇色の頬によく似合う若草色の瞳。
 女のソニアさえ、羨ましいと思う程の美しい美少年だった。
 
 その容姿に傲ることなく誰に対しても優しく、『天使が地上に降りてきたら、きっとセヴラン王子のようだろう』と皆が称賛していた。

「ソニア、でも承諾したのはセヴラン様なのでしょうから、大丈夫よ。自信を持って!」

 パメラの励ましにソニアも
「そうね、良い妻になれるようにこれからは、勉強も作法ももっと身を入れて頑張るわ」
と微笑みを返した。
 
 パメラはその笑顔を眩しく感じ
「でも、急ね。二週間後にここを出ていくなんて……。友人の結婚は嬉しいけれど、ずっと一緒に生活していたから寂しいわ……」
 つい寂しい心情を漏らす。