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 それからは、クレア城までの道のりはとても楽しいものとなった。
 
 クリスはソニアより長く生きているだけあってか、経験談が豊富だ。
 
 それに詩や歌にも精通していて、楽しい歌や悲しい歌、恋の詩。様々な物語に王宮での話や騎士の話。
 
 とにかく幅広く多彩な方面で精通していて、しかも惹き付ける話し方をする。
 
 ソニアは、次から次へとおねだりをしては自分からもどんどん質問をしたり、話題を返したり、たまには討論したりと尽きることなく会話をして――気が付いたら実家のクレア城に到着していた。

 


 カクン、と馬車が弾みをつけて止まり、何事かと窓から外を眺めたら懐かしい我が家だったのだ。




「――これは……?」