愛しいカトリーヌ
 
 恵まれた環境で育った僕に、手に入らないものは無かった。
 
 そう、心から愛する女性以外は。
 
 カトリーヌと出会った時、既に彼女は人妻。
 
 その現実が更に僕の恋を燃え上がらせた。
 
 ――だけど
 
 幼馴染みを利用しようと画策したのは、悪かったと今でも思っている。
 
 だけど僕だって、この純粋な恋心を弄ばれて傷付いたんだ。
 
 彼女に会う前だったら、僕だってソニアと恋に落ちていたのかも知れないのに。

「……ああ、タイミング悪すぎだ」
 
 思わず溜息をつくが、はっと気付く。
 
 ――そうだ、今からだって遅くはない!
 
 オヤジで騎士以外取り柄のないクリスより、若くて先があり、王子という身分の僕のほうが魅力に溢れているじゃないか!
 
 それに人妻になったソニア……清純で可憐だった彼女がきっと、人妻として匂い立つ色気も出ていることだろう。