◇◇◇◇
 
 グラリ、とソニアの頭が揺れる。

「ソニア様!」
 
 驚いたクリスが、ソニアの頭の後ろを押さえた。

「大丈夫です……」
 
 それが気を失う寸前だったソニアの気付になり、彼女は自らゆっくりと頭を上げて、クリスを見つめて言った。

「……ようやく私のこと、名前で呼んでくれたのですね……」
「……申し訳ない、これは私の我儘なのです」
「我儘?」
 
 顔を赤らめるクリスに、ソニアは聞き返す。
 
 クリスは、彼女がしっかりと自分の足で立っていることを確認すると、腕を離した。

「誤解が多くあるので、どこから話したら良いか分かりませんが……馬車の中で話しましょう。今はすぐに、貴女のお友達の身体を奪ったファーンズ司祭を追わなければ!」