「……そうして消えて、降霊術は幕を閉じて、結局今も現状は変わらない……」
 
 パトリスが話終えて、誰も口を開かなかった。
 
 この場にいるのはソニアにパトリス、そしてクリスとセヴランだけだが、皆、事の重さに口を閉ざしていた。
 
 特に――ソニアは酷い顔色だ。
 
 呪いなんて実際にあることに驚いたのも
 
 その呪いを行っているのが既に亡くなっていて、しかも神職者。

「クレア家は神に見放された――ということですよね……」
 
 ソニアの結果論が痛々しい。

「それは違うぞ、ソニア!」
「嘘!」
 
 パトリスの反論に、ソニアはとうとう喚いた。

「――なら、どうして私一人になる前に神は助けてくださらなかったの?  司祭の行為が間違っているなら、とうに彼の呪いを止めてくださってる!  ……お祖父様のしたことは間違っていたからではありませんか!」
「ソニア……神は何から何まで、お力を貸してくれるわけではないのだ。その時を待つしかない」
「では、クレア家は途絶える血筋だから? だから、こうなるまで放っておいたと? そう感じられます!」
 
 泣きわめくソニアを慰めようと、パトリスとクリスは近付くが
「近付かないで! 一人にして!」
と髪を振り乱して拒絶する。