「ソニア?」
 
 再び取り巻きに囲まれたソニアに近付き、腰に手を当ててきた青年と目を合わせる。

「セヴラン様」
 
 セヴランは甘い笑みをソニアに向ける。それから周囲に集まる男達を一瞥すると

「失礼、パトリス王がソニア様をお呼びなもので」

と挑戦的な眼差しをした。
 
 セヴランはパトリス王の息子で第二王子。

 そんな視線を受けては皆、黙って退散するしかない。
 
 何人か舌打ちをしたようで、汚ない音がソニアの耳にまで届いた。

「――こっちへ」
 
 セヴランが、素早くソニアをバルコニーへと誘導した。