『私もお父様もお母様もいないの。一人ぼっち』
 
 同じ境遇にお互い、お互いを抱き締めて泣いた。
 
 パメラに会いたい――とても
 
 この気持ちを吐き出したい。

「……パメラ」
 
 涙を堪えて、ソニアは友の名を口にする。

「ソニア……?」
 
 後ろから覚えのある懐かしい声に驚いて、ソニアはゆっくりと振り向いた。

「パメラ? 貴女なの?」
 
 髪を結い上げて生花を差して、赤と黒の配色のドレスを着ている彼女の装いは、その辺にいる貴族の子女とどこか違う。艶やかで色気がある。
 
 修道院の頃の無邪気で明るい印象とガラリと変わった様子に、ソニアは泣くのを忘れて面食らっていた。

「どうしたの? そんなに驚いて。私の格好、おかしい?」
 
 ソニアは仰天したまま首を振る。
 
 実際、彼女にとても似合っている。ただ、いつも見ていたパメラのイメージと違うだけで。
 
 とても着そうにはない色合いに、大人びたデザイン。
 
 そしてドレスに合わせた口紅は、鮮やかに赤い。
 
 こちらに眼差しを向けながら微かに微笑むパメラは、一足先に大人になったように見えた。

 
 ――でも目の前にいるのは間違いなくパメラ、自分のかけがえのない友人だ。