それにしても――
 
 十年会わないと大分変わるものなのね――少し衝撃を受けている自分がいる。
 
 ふわりとした甘い笑顔の可愛い男の子だった。
 だけど、王族らしく品ある容姿の。
 
 ――見舞いに来て久し振りに再会した幼馴染みは『ふわり』どころか『ふらふら』という言葉が似合う青年になっていて。
 
 ――でも、育ちのよさは隠せないし、やはり一際目立つ綺麗な顔立ちで、思わず見惚れてしまうほどだった。

(それに……私の初恋の相手だし……)
 
 そう思うと、胸がキュンと鳴く。

「申し訳ない、姫君。貴女のずっと想っていた人を悪く言うなんて……」
 
 頭を下げてきたクリスにソニアは慌てる。

「いえ。クリス様がとっても手を焼いていたのが目に見えた説明でした」
 
 そう笑った。

 
 ――分かっているなら彼のこと、悪く言わないで

と頭の片隅でクリスに愚痴る。

 

 やっぱり初恋の相手は別格なのだ。