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 セヴラン王子が来たことを、教会から帰ってきたクリスに伝えると「そうですか」と一瞬驚いた表情をした彼だったが、すぐに切り替えて、明日の教会訪問の時間についての相談になった。

 
 早い時間の方が良い、というソニアの意見にクリスは早い朝食の手はずを整えに行く。
 
 ソニアは侍女達に明日、すぐに出発出来るように荷物をまとめて置くように頼んだ。
 
 セヴランの話をしたところ、驚きと混じったどこか呆れた色があったのをソニアは見逃さなかった。
 
 クリスは王太子であるアロイス様と、セヴラン様の剣術指南と騎士道を教える立場にあったはず。
 
 ――いわゆる師弟関係
 
 なのに城下街から出た、この宿泊街までお忍びでやってきたことを知ればクリスだって、もう少し喜んでも良いんじゃないかと思うし、セヴランも「師に挨拶してから帰る」とか言っても良いはず。