「ソニア・ド・クレア様。ご婚約者様自らがお迎えに上がりました」
侍女の一人が報告し、ソニアとパメラはしっかりと手を握りあった。
勿論、いつもそうしていたように手のひらを合わせ、指を絡めた方法で。
「元気でね……ソニア」
「ええ、パメラも……手紙、絶対に書くからね……」
いつもお互いを励まし合い、ずっと一緒の部屋で色々な夢を語り合った。
どんな小さな悩みでも相談した。たまに『こんなことで』と後で自分達も呆れるような事でも喧嘩した。
「……パメラ」
後から後から彼女と過ごした日々が頭の仲を巡る。
「ほら! 泣いちゃ駄目。せっかくの化粧が崩れちゃう」
涙腺が崩壊寸前のソニアを、パメラは元気よく励ました。
「また会えるわよ、絶対に。私達、神の元で繋がっているのですもの」
去っていく子女達を見て、別れを悲しむ者達にいつもシスターが言っていた言葉。
「うん、きっと、きっとよ……!」
別れを惜しむ二人の元に、シスターが入ってきた。
「ソニア、私達は神の御許にいます。いつでも繋がっていますよ」
先程パメラが言ったことと同じ台詞を告げられて、ソニアは指で目尻を擦りながら頷いた。
それからシスターはソニアに「これを」と渡してくれた。
銀細工の立派なロザリオ――
「シスター……! こんな素晴らしい物を……!」
使い込まれていながらも、磨いて大切にされていたのが手にした瞬間よく分かった。
「私が若い時に身に付けていた物です。少しデザインが派手なのでしまっておいたのだけど……貴女なら丁度良いでしょう」
そう言うと、ソニアの手を両手で優しく触れた。
「貴女の伴侶となるお方は、きっと貴女を良い方向へ導いてくださるでしょう。――旦那様になるお方を信じてついていきなさい」
「……はい! シスター、今までありがとうございました」
「ソニア、貴女に前途ある未来が訪れるように祈っています」
シスターのいつもと違う、どこか憂いの影のある微笑みにソニアは気付けなかった。
彼女は浮かれていたのだ。ここまでは。
侍女の一人が報告し、ソニアとパメラはしっかりと手を握りあった。
勿論、いつもそうしていたように手のひらを合わせ、指を絡めた方法で。
「元気でね……ソニア」
「ええ、パメラも……手紙、絶対に書くからね……」
いつもお互いを励まし合い、ずっと一緒の部屋で色々な夢を語り合った。
どんな小さな悩みでも相談した。たまに『こんなことで』と後で自分達も呆れるような事でも喧嘩した。
「……パメラ」
後から後から彼女と過ごした日々が頭の仲を巡る。
「ほら! 泣いちゃ駄目。せっかくの化粧が崩れちゃう」
涙腺が崩壊寸前のソニアを、パメラは元気よく励ました。
「また会えるわよ、絶対に。私達、神の元で繋がっているのですもの」
去っていく子女達を見て、別れを悲しむ者達にいつもシスターが言っていた言葉。
「うん、きっと、きっとよ……!」
別れを惜しむ二人の元に、シスターが入ってきた。
「ソニア、私達は神の御許にいます。いつでも繋がっていますよ」
先程パメラが言ったことと同じ台詞を告げられて、ソニアは指で目尻を擦りながら頷いた。
それからシスターはソニアに「これを」と渡してくれた。
銀細工の立派なロザリオ――
「シスター……! こんな素晴らしい物を……!」
使い込まれていながらも、磨いて大切にされていたのが手にした瞬間よく分かった。
「私が若い時に身に付けていた物です。少しデザインが派手なのでしまっておいたのだけど……貴女なら丁度良いでしょう」
そう言うと、ソニアの手を両手で優しく触れた。
「貴女の伴侶となるお方は、きっと貴女を良い方向へ導いてくださるでしょう。――旦那様になるお方を信じてついていきなさい」
「……はい! シスター、今までありがとうございました」
「ソニア、貴女に前途ある未来が訪れるように祈っています」
シスターのいつもと違う、どこか憂いの影のある微笑みにソニアは気付けなかった。
彼女は浮かれていたのだ。ここまでは。