「……?」

 セヴランのその親切な様子に、ソニアは何処か違和感を感じて首を捻った。

「どうしたの?」
「いいえ、何でも……。セヴラン様、今日はお忍びで? お供の方は?」
「外で控えてもらっている。あまり長居すると回りが大騒ぎするから、もう帰らなくてはならないけど――今度は王宮で、昔に戻ってゆっくり語り合おう」
 
 セヴランはそう言い、ソニアに恭しくお辞儀をすると、侍女の手の甲に口付けをして部屋から出て行った。