「つい長話しちゃった。お邪魔しちゃってごめんなさいね」



「いえ、大丈夫です」



女の人は再びカウンターの方へ戻り、注文をしてもいない、机に突っ伏した男の人の元へコーヒーを運んだ。


そしてそれを黙って飲むということはこの行為は同意のもとに行われているということ。


男の人がいかにここに通いつめているのかが良くわかる。



「また来たいね」



「そうだな。疲れたとき来るか」



私達はここの場所を忘れないようにしっかりと頭の中に叩き込んだ。


ネットで調べても出てこないらしいから忘れたら地道に探す他ない。


でも……案外すぐ見つけられそうだと思う自分もいる。



「本当不思議な店」