苦笑いしながら智也先輩が答える。



「あまり人がいるカフェは好きではなくて……人のいなさそうなところを探した結果ここに辿り着きました」



女の人はどこか納得いったようなスッキリとした顔で、このカフェについて説明してくれた。


どうやらここは知る人ぞ知る名店らしい。


コーヒー好きにとっては堪らない最上級のコーヒーに、落ち着いた内装。


ただ、やはり営業してるかもわからない外装に立地条件の悪い場所にあるこの店は基本的に人が寄り付かない。


だけど稀に来るお客さんは大体疲れていたり悩んでいる人。


無意識にここに呼び寄せられた、と語った人もいるらしい。


そんな人達は大抵ここを気に入る。


よって当然のように常連となり、おかげで収入も入り、ギリギリの状態ではあるが営業出来ているそうだ。


そんな所に若いカップル、しかも片方は制服を着ている私達は珍しいらしい。


そりゃあ驚くのも無理はない。


むしろ驚かないダンディーなおじさんの方がおかしいのだ。