「何だか、懐かしい……配属される前のことを思い出す」

仁登里は黙って私を見る。

引き立て役という言葉は前にも聞いたことがある。


「部隊の紙、張り出されてたねー」

配属される部隊を発表する紙から自分の名前を探す。
み……み……あった!

私の名前の上に、第一光描部隊と書かれていた。

「やったぁ!」

全力を出しきった試験で認められるのは嬉しかった。

その後、同期の子と話していた。

「おめでとう!私は違う部隊だけど……」

「私、羽空(はく)ちゃんの方が配属されると思ってたよ……羽空ちゃんなら強い魔導士って認めてもらえるよ!」

私は第一光描部隊、羽空ちゃんは第三夜甲部隊の隊長として活躍する……なんてことを夢見ていた。
私は人々が輝く昼を、羽空ちゃんは人々が安心して眠れる夜を守る。そうなればよかった。

羽空ちゃんと別れて、他の人にも言いにいこうとした。

皆はどこかな?
私はほめてもらえるかもと期待していた。

「部隊発表、どうだった?」

聞きなれた声だ。私は勢いよくドアを開けてやろうと思った。

「今年、第一光描部隊はぱっとしないよね」

私は固まって、開くことはできなかった。

「葭原さんと足利さんはまあ当然入るよね。有力候補以外の子は……適当に選んだんじゃない?引き立て役だし」

「どうでもいいや。今年絶対不作だよね」

「試験での映像見る?」

「見ない。どうせぱっとしない、似たような魔法ばっかりでしょ」

私の全力は、ぱっとしない……。
見られることもないんだ。

憧れの部隊に入れたのは、その時の運……。


そんなこと、あってたまるか!


自分は強いと言い聞かせ、戦い続けた。
積極的に攻撃し、経験を積もうとした。けど、良い結果はあまり残せていない。

同期の子に追い越されていく。試験の時の自分を追い越せない。

苦しい。だから、仁登里が嫌いだった。何を言われても笑顔を崩さなかった仁登里が……。
私にはいつも余裕がないのに……。