「私を愛してはいないの?」

 言いたかった言葉ではない。

 でも一番聞きたかった言葉だった。

 彼女は息を吸うみたいに平然と微笑んだ。

 その目は全てを見透かす獣の目。

 細長い指先が動くたび目で追う程に美しい。

 彼女は私を抱き、私の胸に手を当て、深く息を吸う。

 わかってしまった。

 「あいにきてくれて嬉しいのよ」

 そうか、初めから愛されてなんていなかったのかと。