「まずったかなー」 人がいなすぎて不安になる。ここは早く切り抜けよう。 痴漢の心配はないとは思うけれど、私は幽霊にだけは出会いたくない。 「ちょっといいかな?」 「え?」 声が聞こえて私は立ち止まる。 今は第1校舎と第2校舎の間の中庭。体育館からはだいぶ離れているから生徒会たちの声じゃない。 辺りを見回してみても誰もいない。声の主は近くにいるはずなんだけど。 幽霊、じゃないよね? 違う、違う! 違うから!! 「勘弁してよね」 信じるわけにはいかなくて、私は声の主を探す。