「教室戻るよ!」




 校庭から聞こえてきた声に振り返る。



 モヤモヤしたものが僕を支配し始めて、その感情が何なのかわからないまま苛つく。



 あの夏海先輩は僕の知っている夏海先輩とは違う。



 クラスメイトであろう男子とサッカーを楽しむ姿に違和感を覚える。
 仲良く腕を組んだり、ふざけて叩き合ったり、見たことのない笑顔で話をしている。



 イライラする。



 夏海先輩は少し小悪魔だ。
 こんなふうに僕を悩ませて、混乱させて、感情を揺さぶる。