人は誰でも1度は疑う。その人が本当のことを言っているのかを見極めるための、センサーみたいなものが働くんだ。



 きっと僕はそのセンサーが壊れている。いや、使おうとしないんだ。




「噂は噂です。誰が流したか知りませんが、僕に彼女はいませんよ」

「先輩のことも?」

「危ないところを助けてもらっただけです」




 クラスメイトは残念そうな顔をする。




「そろそろ授業が始まります。戻りましょう」

「そう……だね」




 まだ何か聞きたそうな彼女を教室へと入れる。僕も立ち上がって椅子を持つ。