「私のこと、嫌ってたんじゃないの?」


「はい。嫌ってました」




 胸が痛い。わかっていたけれど、素直な言葉が突き刺さる。




「でも、違いました」


「違う?」


「好きです」




 このまま死んでもいい。
 春真くんに言われる"好き"は、どんな"好き"でも大歓迎。




「あの男たちはカツアゲをしているんだ、と。夏海先輩はそう言いましたよね?」




 1人喜んでいると、真剣な目を向けられたので咳払いを1つ。私は深呼吸をして落ち着く。




「うん、そう言った」


「あの人たちは財布を忘れたと言いました。でも夏海先輩の真剣な目を見て、カツアゲをされていたんだと信じました。その直後、先輩は財布を忘れてラーメンが払えなかったって」


「……ごめん」


「だから、わからなくなってしまったんです」