「仕方ないな」




 私は噂話のお陰で手に入れた情報を存分にいかすことにした。




「遠野春真くん!! 話があるんだけど!! 出てきてよー!!」




 聞いたか、この大声。



 多分、1年の廊下。3階に響き渡る美声にみんな……震え上がってる。おかしい。




「呼び出しだ」


「遠野くん、可哀想」


「遠野くん、なにかしたの?」


「ねえ、先生呼んだ方がいい?」




 おい、いい加減にしろよ。1年。キレるぞ。暴れるぞ。



 いかん、いかん。
 優しくなるって決めたんだから、ここは我慢して。春真くんが出てくるのを待つしかない。