『知ってるよ。だから、夏海のスピーチを聞かせる手伝いをしたんだ。本当はやりたくなかったけどよ』




 秋は不貞腐れて、目線を合わせようともしてくれなかった。
 でも、何となく優しさを感じる。




『好きな女には幸せになってもらいたいから。絶対、不幸になるんじゃねえぞ!』




 振られたというのに、笑顔で言葉を返す秋。



 秋って、こんなに笑う人だったかなって疑問に思う。もしかして、秋の中でも変化が起きたんだろうか。




『夏海の言葉、すげー胸に響いた。夏海はいい生徒会長になる。絶対だ』




 そう言い残して行ってしまった秋。



 泣きたくなるから、これ以上何も言わないで欲しいと可愛いことを言われてしまって、黙るしかなくなった。



 またいつか、気持ちが落ち着いたら遊んでくれるかな。
 そんなことを思う。