隣に座る疾風さんは恥ずかしそうに、横を向いたまま動かない。
思った以上に純粋な人だ。
「もう失敗しないと誓った私ですが、調子に乗りすぎてまたやってしまいました。先程言っていた天使くんに対して言いました。
自分の理想や考えを押しつけて、トラウマを克服して欲しいと伝えたんです。
間違った言葉を伝えました。
トラウマなんて簡単に克服出来るものではありません。周りから言われたって、無理なものは無理なんです。今振り返っても、酷いことをしたなぁと反省する毎日です」
もしかして、それを伝えるために僕に接触しようとしてくれていたんだろうか?
だとしたら。
謝る機会すら無視して、聞かないことにして、夏海先輩の全てを拒否し続けていたことになる。
僕の方が酷いことをしているじゃないか!



