わかっているつもり。
 私もそうだった。疾風も、生徒会長も。自分を守るため、他人を守るためと、言い訳をして正当化させてきた。



 いつまでも殻に閉じこもっていたら、大事な時に出られなくなる。



 いつ逃げて、いつ飛び立てばいいかわからなくなるんだよ。




「私の噂、たくさん聞いたでしょ?」


「……聞きました」


「秋と付き合った。秋に殴られた。他にもたくさんあったよね?」




 春真くんは黙って話を聞いていた。



 手の中のジュースがどんどん温くなる。
 時間に追われているような気がして、私の口も止まらない。




「素直で純粋。信じてしまう春真くんは、それをどう思ったの?」


「それは……っ」


「信じた。だからあの時、爆発しちゃったんだよね。キス……したでしょ?」