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思い返してみれば、私はちゃんと春真くんに向き合っていなかった。
もちろん疾風とのことがあって、知らず距離を置いていたんだろうと思う。それは疾風のせいなんかではなく、私のせい。
逃げていたツケが巡ってきただけ。
あの日の春真くんのキスは、多分精一杯の気持ちだったんだ。
スマホを放置して連絡手段を断っていたのもあるけれど、久しぶりに会って気持ちが爆発。
そんな時に私は、彼を友達だって言ってしまった。
嫌な女だったよね。
私は約束の時間が来る前に、耳にあったクローバーピアスを逆に向ける。
春真くんに会う時にだけ付ける女の子仕様。
時間も時間だったから、お昼は各々で食べてからの待ち合わせ。
午後2時。もうすぐ時間になる。



