「夏海さ。最初はガサツだったけど、最近は乙女だよね。恋してるからかな?」
「うるさいな」
「それにしてもさ、副会長の住所? あれ、どうしたの?」
「ちょっとした取り引きで手に入れた」
「何それ。闇ルートで手に入れたみたいな言い方」
「ある意味、よ」
2人で笑い出す。
その時、雪乃のスマホから軽やかな音が鳴る。
画面を見つめる雪乃が、ぷっと噴き出す。
「どうしたの?」
「校門前は暑い。いつ終わるんだって怒りの秋から」
雪乃のスマホには、暑くて倒れる姿のスタンプが何個もあった。秋ってスタンプ使うような人なんだ。なんか似合わない。
「早く行ってきなよ。私も春真くんに連絡したら行くし」
「わかった。じゃあ、今度遊ぼう! また連絡する!」
「わかった」
嬉しそうに去っていく雪乃。
昼時のキツイ太陽の下。走っていく雪乃を見送ってから、私はスマホを取り出した。



