それだけ伝えて、私は雪乃の手を引っ張る。
「行こう」
「……うん」
生徒会長がこれからどうするかなんて聞きたくない。
雪乃の前では暴力野郎だったけど、副会長の前ではそんなことはしないだろう。
だって、そもそもの始まりは告白出来なかったことなんだから。
「夏海」
自分が出来なかったことを他人のせいにしていた。
結局は最低男だけれど、変わるも変わらないも自分次第。
後はもう知らない。
「夏海!」
「あ……雪乃」
教室を出て、すでに昇降口まで来ていた。
歩くのが速かったらしく、雪乃が息切れしている。
「いきなりあんなこと言うから、びっくりするじゃない」
「うん……そうだね」
「どうしたの?」
「よく、わかんないや。私も過去に縛られてた人間だからさ。同情とは違うんだけど、可哀想っていうか……」
「うん、わかるよ」



