「捜す方法はいくらでもあったはず。でもそうしなかったのは、振られるのが怖かったからでしょ? 逃げていたんでしょ?」
「黙れ」
負けない。
黙らない。
もう、逃がさない。
「壁が見えたら方向転換? たまたまそこにいた雪乃を身代わりにしたの? 何が愛してるよ、何が恋人よ! 雪乃の心を返しなさいよ! 一途に好きだと言ったその想いを利用する卑怯者!!」
「黙れっ!!」
怒るのはまだ心がある証拠。
まだ間に合う。
私の手を握る雪乃。体温が少しずつ下がっていくような気がする。でも、もう少しだから。
生徒会長を助けようだなんて、どうかしている?
本当は憎い。癪だけど。気に入らないけど。それでも雪乃が愛した人だから。
ここで逃げたら、きっと生徒会長は何も変わらないし、本当に卑怯者になっていってしまう。
過去の好きな人でも、そんなふうになったら悲しいと思うから。



