本当にバカだなって言われて、突然となりに座ってきた疾風に抱きしめられた。
「……あ」
「わかってる。この気持ちが一方通行なのはわかってるよ。だけど、今だけ。もう、こんなことしねぇから」
エアコンにあたりすぎた疾風の腕は冷たい。
何となく頬を寄せれば、男だなって思わせる引き締まった筋肉。女とは違うしっかりした太い骨。
耳を当てると疾風の心臓の音が聞こえて、やっと今の状況を理解し始める。
「話、違いませんか?」
この空間に、聞こえるはずのない違う声が聞こえて、私は自分でもわかるほどに肩を揺らしていた。
聞き覚えのある声。



