「すご」
「お代わり」
ちょっと待って。普通にお代わりなんて言ったけど、私ってばどんだけ図々しいの。
自分が嫌になる!
「どうぞ」
ペットボトルからコップに麦茶を入れてくれる疾風。今日は素直すぎて、調子が狂う。
そういえば眼鏡をかけていない。
「眼鏡は?」
そのまま口に出すと、疾風はなぜか考える仕草をする。
「事故にあって壊れた」
「事故? 車!? 轢かれたの? え、無事とか有り得ない強靭さ」
「その事故じゃねえよ!」
「あっそ」
「軽っ。冷た!」
交通事故じゃないなら安心。そんな私の言葉が冷たく感じたらしく、疾風は驚く表情を見せる。
そんなやり取りが懐かしくて、どちらからともなく笑い出す。



