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「ずっと避けていたのに、どういう風の吹き回し?」
やっぱり疾風は少し嫌味で、グリグリと私の心臓を抉るみたい。
この痛みも久しぶりで安心してしまう。安心してどうするんだ、私。
「好きな人がいるから!」
「は?」
いきなり過ぎた私の言葉に、見るからに嫌悪の表情をする。
とにかく説明しようがなくて、まず要点から言い始めたんだけど。要点すぎたのかな。
「私、ずっと止まったままなんだ。疾風とケンカして別れて、意味がわからないままで」
だから、話をしにきた。
謝りに来たんだと言うと、疾風は少し困った顔をする。
ソファに座って向かい合うと、妙に緊張して上手く伝えられない。
落ち着けと自分自身に言い聞かせるため、疾風が用意してくれた麦茶を一気飲みした。



