「財布を忘れたの」


「財布?」


「私がラーメン注文したのに、財布忘れてお金がなくて」


「昨日はサンドイッチ食べてたじゃん」


「教室に忘れたの」




 私は机から昨日忘れた財布を取り出した。



 まさかの天使くんに、2人分のラーメンを支払わせてしまった。そして、ラーメン屋を出た後に言われてしまったんだ。




『さっきのがカツアゲだって言いましたよね? だったら、先輩のこれもカツアゲと変わらないじゃないですか』




 返すからと言ったのだけれど、天使くんは冷たい目を私に向けていた。