図書館の話はどうでもいいという顔をしている。私は咳払いをして、本題に移ることにした。




「私、あの時。勝手に怒ったんだよ。大事な雪乃になんてことすんの! ってさ。感情だけで動いた」




 目の前で雪乃が殴られていて、訳が分からなくて。ただ悔しくて、腹が立って……。




「でもさ、雪乃は好きなんでしょ? 彼のこと」


「……好き」


「だから、自分だけの気持ちだけで動いちゃいけないって思った。それで必要最低限の知識がなきゃ、きっと雪乃とぶつかるだけで終わる。疾風みたいに、ケンカで終わらせたくないって……思ったから……っ」