「なあ、春真。お詫びのつもりで、ここに連れてきたんだろ?」


「はい、そのつもりです」


「じゃあさ、協力してくんねえ?」


「え……」




 疾風さんが初めてニッと笑う。
 その悪戯な笑みを見ていると、かつて夏海先輩が親友と信じた理由がわかるような気がする。



 お詫び。
 それを断れないこと、疾風さんはわかっている。



 トントンと、割れた眼鏡をつつく彼に、僕は今日初めてイラついた。



 でも羨ましかった。



 夏海先輩のことを包み隠さずに、好きだと言える疾風さんが。



 ……羨ましい。