秋を助けて。
 確かに殴ったのはよくなかったけど、私を守ろうとしてくれただけ。
 悪くない。悪い人じゃないよ。




『泣くなよ、夏海』




 秋は教師達に連れて行かれる途中、無理やり私に近づいてきた。




『オレは簡単にはくたばらねぇよ』




 協力したい。でも、何をしたらいいのか、何をしたら良かったのか。
 今でも悩んでいる。



 個別に行われた聞き取り調査は、意見が分かれて意味を成さなかった。先生もそれ以上追求することをせず、厳重注意にとどめた。



 処罰されることはなく、また同じ日々が始まると思っていた矢先、秋が学校からいなくなった。



 自主退学。
 暴行事件から、1週間後のことだ。