ガタン、と机だか椅子が倒れる音がして目を開けた。 私自身には何もない。 驚いた顔の雪乃が見えて、目線を追えば生徒会長が机と一緒に倒れている。 その前にいたのは黒髪の男。 「大丈夫か、夏海?」 声に気づいて、私は声を出していた。 「どう……して?」 「どうしてって、惚れてる女がやられてんだぞ。黙って見てられねぇよ」 軽く振り向きながら、私の名前を呼んだのは……。 不破秋。 私が知らない姿で不敵に笑う、黒髪の秋だった。