入ることを躊躇っていると、
「嫌……っ」
はっきり聞こえた声に私は迷いを打ち消す。
教室に入った瞬間に目に入る恐ろしい光景。
一瞬、動けないまま立ち竦んでいたと思う。
雪乃に馬乗りになる生徒会長。
腫れ上がった雪乃の頬。
そこを流れる涙。
何が起こっているのかを理解するのに時間がかかった。
だって、雪乃は生徒会長と上手くいっていると……思い込んでいたから。
「雪乃……」
雪乃を助けようと1歩を踏み出すと、生徒会長は私を横目で見ながら雪乃を平手で殴った。
「なに、してる……の?」
そう言うのがやっとだった。



