1年生のクラスに向かっていた私は、何気なしに振り返る。
そこは空き教室で、たまに生徒会役員が集まっていると聞いていたから。
今日は文化祭についての話があるって言っていた。
夏休みの後だから、早めに話し合わなきゃいけないんだろう。
でも、ちょっと最近の雪乃は大変そうだ。
いや。雪乃のことも気になるけど、今は春真く――。
「え?」
僅かな物音だった。
騒がしい1年生の廊下で、そんな音なんて気のせいかとも思った。でも、確かに聞こえた悲鳴。
あれは雪乃の声だ……。
踵を返すと、前に雪乃に教えてもらった教室の前に立つ。会議中の貼り紙で中は見えない。



