ぞろぞろと教室に入ってくるクラスメイトたちの目線が痛い。
雪乃はほっとしたように私の後ろから出てきた。
「夏海のこと、聞かせてくれる?」
雪乃には告白されたその日に電話をした。
だから告白のことは知っている。でも、まだ断っていなかったことに驚きを隠せない様子。
「雪乃の話を聞きたい気分なんだけど」
「わたしなんか、どうでもいいし」
「言わなきゃ駄目?」
もちろんだと言わんばかりの冷たい目線が怖い。
「ちゃんと、言う」
「よろしい」
その日、新しい噂が学校中に広まる。
ヤンキーの不破秋と周防夏海が付き合っている、と。
本当に噂というものは信用出来ないものだ。



