勉強はそっちのけで、やりたいことやって、共働きの両親を困らせてばかりいた。




『ケンカはやめろ。暴力では何も解決出来ないぞ』




 知ってる。わかっている。
 解決出来たことなんてなかった。悲しいことばかりが残って、ただ無力さを知るだけなんだ。



 でも、相手が暴力でくるなら……。




「戦うよ、私は」




 私は何も考えていなかった。
 天使くんを引っ張り、彼らを階段から突き落としていた。



 突き落とした2人に捕まるより先に、私は階段を駆け下りる。



 もちろん、天使くんも一緒に。