最低だ。合わせる顔がない。




「夏海! おはよう!!」


「あんたはいつも元気ね、雪乃」


「夏海の元気がなさすぎるんでしょ!」




 バシッと私の背中を叩いた音が昇降口に響く。
 痛すぎて声にならない。




「夏海がなにも言わないから黙ってたけど、いい加減に春真くんと仲直りしてきなよ」


「ケンカしたわけじゃないし」


「原因わかってるんでしょ!?」




 今日の雪乃はグイグイくる。
 どことなく怒って見えるし、何気に私にあたってきているような……。




「で? 夏海さん?」




 なぜさんづけなのか。
 恐怖で私がゴクリと唾を飲み込むと、雪乃の口角が上がる。



 昇降口を離れて教室に向かいながら、雪乃の冷たい視線に耐える。耐え……られない。