「嫌いなのに直せないから、人と距離を置くようになりました。僕のせいで誰も傷つけたくないから。この喋り方だって、先輩だから敬語を使っているわけじゃありません。距離を置くためです」
やっと春真くんは目を開けた。
知らなかった春真くんのこと。知っていく心の声。
踏み込んでいいのかさえ不安になる、春真くんの横顔はあまりにも淋しい。
「だから、夏海先輩。先輩がいい方向に変わってくれたこと。それが僕の影響だったなんて、嬉しくて救われます。僕も……」
「私は大丈夫だから。傷ついても離れていかない。だから、自然のままでいてほしいな」



