「だけど春真くんに出会って、やめることにしたの」
「僕? なぜですか?」
「春真くんは真っ直ぐにぶつかってくれるから。私も真っ直ぐにぶつからなきゃって反省したの。誤魔化さない自分を見てもらおうって思って」
風が葉を揺らす。
澄んだ空気が気持ちよかったからか、全て話した今。私もすっきりした気持ち。
でも、春真くんの反応が怖くて顔が見られない。
少しの沈黙の後、春真くんがいつもの声音で答えた。
「光栄です。僕みたいな人間でも、誰かを変えられるんですね。誰かの心を動かせる……本当に、嬉しい……っ」
春真くんはそう言って足を止める。何を思っているのか、池を見つめた後目を閉じる。



