見事なまでの頭突きを大好きな涼兄にやってしまって、そのかたさに私が痛い。
平然と好きな人がいるって言うからびっくりするじゃない。
「結婚、するの?」
「したいと思えるくらい好きな人だ。まだ告白もしていないんだ。蛍には内緒だぞ」
「……うん」
蛍兄の口の軽さは家族内では有名。
話したらきっと、涼兄の好きな人にまで届いてしまうかもしれない。
「で。夏海は?」
涼兄のすごい所は、自分の話をして話しやすい雰囲気を作る。
悩みっていうのは、そう簡単に話せるものじゃない。蛍兄みたいに言えと言われて言えるものじゃない。
きっと蛍兄を買い物に行かせたのも、悩みを言わせるためなんだろうな。こんな大人な涼兄が本当に好き。



