「涼(りょう)兄は?」


「もう仕事に行った。俺も大学なんだけど」


「いますぐ涼兄に会いたい」


「おい、俺にも会いたがれよ」


「嫌だよ。意地悪な蛍兄と違って、涼兄は優しいんだもん」




 蛍兄のことは嫌いじゃない。でも涼兄には負ける。
 涼兄とは歳が10も離れてるから、私のことを可愛がってくれる。子供みたいなもんだ。



 でも、それだけじゃなくて。涼兄はいざという時には頼りになるし、相談にも乗ってくれる。



 そろそろ朝の8時。蛍兄も大学に行っちゃうんだろうな。意地悪な奴だけど、まあ少しは寂しい。