札幌市内の某ホテルに移動する。
豪華なロビーを抜け、金色のエレベーターに乗る。
遥希はあたしの背中に手を回し、あたしは愛しい遥希に身体を預けた。
遥希に、コンサートお疲れ様なんて言うべきだろう。
だけど、結局、アクロバットが出来ないままコンサートを迎えた遥希に何も言えない。
きっと、遥希は張り裂けそうな思いと戦っている。
たった一人で。
こんな時あたしが出来ることは、ただ側にいて抱きしめることしか出来ない。
部屋に入った瞬間、再び唇を塞がれた。
優しく、甘く、激しいキスを繰り返す。
いつもしているのに、相変わらず慣れない。
身体全体が遥希を求めて反応した。
「今夜は寝かさねぇ。
一晩中、愛してやる」
切ないその声を聞いただけで、身体を電流が駆け巡った。



