慌てて化粧をし直そうとポーチを取り出す。

そんなあたしを目敏く見つける遥希。

イラついた様子であたしに聞く。




「お前は、碧と俺、どっちがいいんだ」



「そっ……そんなの、遥希に決まってるよ!」




あたしは必死だ。



ずっと好きだった碧に会えるのは、すごく嬉しい。

だけど、遥希に対する好きと、碧に対する好きは違うんだ。

それに、碧の前で遥希の面子を潰してはいけないと思ってしまう。






どぎまぎするあたしに近寄る遥希。



そして……



奪い取るようなキスをする。

それだけで、身体が発火しふにゃふにゃになってしまうあたし。

駄目だよ、遥希。

あたしには、遥希しかいないんだから。

草木が水を浴びて元気になるように、あたしは遥希のおかげで元気になる。